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小児眼科

お子様の目に関する診療について

生まれたばかりの赤ちゃんは、明るさをぼんやり感じ取れる程度の視力が備わっているとされています。生後1年ほどの間に、目の前の物を見て認識する力が急速に発達し、視力はおよそ10歳頃を目安に完成すると言われています。
このように、視機能は乳児期から小児期にかけて大きく伸びるため、斜視や弱視といった小さなお子様に多い目のトラブルは、発達の途中で治療を始めることで改善が期待でき、正常な発達に繋がる可能性があります。
お子様の眼科診療で特に大切なのは、治療を始める時期です。
視力が育つ期間に適切なケアを行わない場合、視機能が十分に発達しない恐れがあります。
また、乳幼児の目の異常は外見から判断しにくく、違和感があっても大人ほど言葉で伝えられないため、周囲が気付きにくいことも少なくありません。
お子様の目について、気になる点がございましたら、どうぞ当院へご相談ください。

子供に多い目の症状・疾患

子供の目の病気は珍しいものではありません。免疫機能がまだ十分に発達していないため感染症が重症化しやすいことに加え、保育園や学校などで不特定多数と関わる環境にあることで、感染の機会が増えることが理由として挙げられます。
また、子供の目の症状は体調の変化と同じように急に悪化することも少なくありません。異変に気付いた際には、できるだけ早めに医療機関を受診させましょう。

①結膜炎

お子様の目が赤くなり、目やにが増えている場合は、結膜が炎症を起こしている「結膜炎」が考えられます。症状としては、痛みや充血、目やにの増加、かゆみ、異物感(ゴロゴロする感じ)などが代表的です。
結膜炎の原因は大きく3つに分類され、ウイルスによるもの、細菌によるもの、そして花粉症に代表されるアレルギーによるものがあります。

ウイルス性結膜炎は特に感染力が強く、周囲にうつる可能性が高い点が特徴です。細菌性結膜炎そのものの感染力は比較的弱いものの、他人にうつるリスクがあります。アレルギー性結膜炎は春や秋など、花粉が多い季節に症状が出やすくなります。
治療は主に点眼薬を用いて行います。

②ものもらい

瞼が腫れる、かゆみや痛みがある、目が開けにくい、ゴロゴロした違和感がある等、こうした症状が見られる場合は「ものもらい」が疑われます。また、西日本では「めいぼ」「めばちこ」と呼ばれることもあります。眼科では「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」と「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」の2つに分類されます。
「麦粒腫」は、黄色ブドウ球菌が涙腺やまつ毛の根元に入り込むことで急に炎症を起こし、強い痛みやかゆみ、赤く大きく腫れるのが特徴です。

まつ毛の内側にできることもあり、ゴロゴロとした異物感を伴うことがあります。小さなお子様の場合、汚れた手で目を擦ったり触ったりすることが原因になることも多いため、手洗いを促したり、清潔なタオルやハンカチを持たせたりするなど、保護者の方のサポートが大切です。
一方、「霰粒腫」は瞼にしこりができるタイプです。痛みや赤みはほとんどなく、しこりが小さくならずに残ることが特徴です。ものもらいそのものが人にうつる心配はありませんが、種類によって治療方法は異なります。状態によっては抗生物質や点眼薬を使用したり、悪化した場合には切開が必要となったりすることもあるため、早めの受診を推奨します。

③打撲

お子様が目の周りをぶつけた際には、まず応急処置として、瞼や周囲が腫れている場合は冷やし、ゴミなどが付いているときは水で優しく洗い流してください。眼球を押さえると余計な圧がかかり、症状が悪化する恐れがあるため、圧迫は避けて様子を見てあげましょう。
泣き止まない、目を開けられない、眼の中に出血が見られるといった場合は、黒目や角膜に傷が付いている可能性があります。
また、左右の目で物を追えない、瞬きができない、腫れが強いといった症状がある際は、早急に救急外来を受診してください。
一見軽い打撲に見えても、目の周囲の骨折や眼球そのものの損傷が隠れていることがあります。
専門医に診てもらい、「問題ありません」と確認できることが何よりの安心に繋がるため、受診をお勧めしています。

④斜視

物を見る時、本来であれば左右の目は同じ方向を向き、目標物に視線を合わせます。しかし斜視では、この視線を揃えることができず、両眼が別々の方向を向いてしまいます。斜視は子供の約2%にあり、黒目がどちらへずれるかによって、内斜視・外斜視・上斜視・下斜視の4つに分類されます。
斜視の原因としては、目を動かす筋肉や神経の異常、遠視、両眼で物を見る機能の異常、視力の問題などが挙げられます。筋肉や神経、あるいは脳の働きに問題があり、両目で正しく対象を捉えられない場合には、視力の状態や複視(物が二重に見える症状)の有無を確認し、日常生活に支障があると判断されれば手術を行うこともあります。
一方、遠視が原因となっているケースでは、治療用眼鏡をかけることで改善が期待できます。
斜視は原因によって治療方法が異なるため、お子様の目の向きに違和感を覚えた段階で、早めに眼科を受診することをお勧めします。

⑤弱視

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ物をくっきりと見ることができません。成長とともに外からの視覚刺激を受けることで視力が発達し、徐々にはっきりと見分けられるようになります。この発達の過程で、視覚刺激がうまく伝わらず視機能が十分に育たない状態を「弱視」と呼びます。特徴として、眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても視力が向上しない点が挙げられます。
弱視の原因には、斜視・遠視・近視・乱視といった屈折異常のほか、先天的な眼の病気などがあります。裸眼で視力が1.0に満たなくても、眼鏡やコンタクトレンズを装用することで1.0以上に矯正できる場合は弱視には該当しません。
弱視の治療が効果を発揮するのは、視覚の感受性が高い時期とされており、3歳児健診などで異常が見つかった際には早期に治療を進めます。治療にはアイパッチや弱視治療用眼鏡などを用いますが、お子様の見え方や性格によって方法が異なります。
当院には経験豊富な視能訓練士が在籍しており、ご家庭でも取り組める訓練をサポートしています。大学病院との連携体制も整えておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

⑥色覚異常

色の見え方が多くの人と異なる状態です。色の感じ方は網膜にある細胞の働きによって決まりますが、多くの色覚異常は、その仕組みに先天的な異常があることで生じています。
自覚しにくく、周囲からは「色が全く分からない」と誤解されることもありますが、実際には色の感じ方が一般的な見え方と異なるだけで、色を認識できないわけではありません。
色覚異常かどうかを調べる検査がありますので、お子様の色の見え方に不安がある場合はぜひ当院へご相談ください。色覚異常が確認された際には、日常生活で困らないように工夫の仕方や過ごし方のアドバイスを行っています。

お子様の近視について

「近視」とは、目に入った平行光線の焦点が網膜より手前で結ばれてしまう状態です。このため、近くにある物ははっきり見える一方で、遠くにある物がぼやけて見えるようになります。原因としては、眼球の奥行きである「眼軸」が通常より長いことや、水晶体・角膜の屈折力が強いことが挙げられます。
反対に「遠視」は、平行光線の焦点が網膜の後方で結ばれる状態です。「遠くがよく見える」と思われがちですが、実際には遠くも近くも見えにくく、常にピントの調節が必要になるため疲れやすいとされています。眼軸が短い、または水晶体や角膜の屈折力が弱いことが原因とされています。
近視には凹レンズ、遠視には凸レンズの眼鏡やコンタクトレンズを用いて視力を矯正します。

近視の主な原因

近視の方は、正常な目に比べて眼球の奥行き(眼軸長)が長く、焦点が網膜の手前で結ばれてしまうため、遠くの物がぼやけて見えにくくなります。近視の要因は大きく「環境」と「遺伝」に分けられ、多くは学童期に発症し、およそ20歳前後まで進行するとされています。
環境要因としては、パソコンやスマートフォンの長時間使用による目の酷使や、屋外で過ごす時間の減少などが指摘されています。
一方、強度近視には遺伝的な影響が強く、親が強度近視の場合、子供も早い時期から強い近視を発症しやすいことが報告されています。
近視が進行すると、緑内障・網膜剥離・黄斑変性症といった重篤な眼疾患のリスクが高まるため、近視の進行を抑える治療が重要とされています。

近視を予防するには

教室の最前列から見ても視力が0.3を下回る場合は、眼鏡が必要になることがあります。
学習に影響が出る可能性もあるため、視力が0.5〜0.7程度になった段階で眼鏡の使用を検討するとよいでしょう。
なお、度数を弱めた眼鏡をかけても、近視の進行を抑える効果はありません。また、眼鏡をかけたり外したりすることで近視が悪化することもありません。

近視を抑制するには

日中に1日2時間ほど屋外で過ごすことが、近視の進行を抑える上で有効とされています。
これは、太陽光に含まれるバイオレット光が、近視抑制に関わる遺伝子EGR1を活性化させるためです。屋外活動を1日につき2時間確保することで、近視の発症率を60〜20%程度まで下げられると言われています。また、ゲームや読書など近くを見る作業による悪影響も軽減できます。
なお、窓ガラスや眼鏡はバイオレット光を通しにくいため、可能であれば眼鏡は授業中のみ使用し、屋外では裸眼で過ごすことが推奨されています。

お子様の近視を抑える治療方法

近視の進行を抑える方法は複数提案されていますが、明確なエビデンスや専門家間の合意が十分に得られていない治療も少なくありません。当院では、有効性と安全性が確認されているリジュセア®ミニ点眼液0.025%と、オルソケラトロジーによる治療を採用しています。

マイオピン(低濃度アトロピン)点眼による近視進行抑制

小児期の近視進行を抑える目的で、「低濃度アトロピン0.025%を配合した点眼薬(マイオピン)」を1日1回使用する治療法があります。近視の進行を平均で約60%抑えられるとされ、世界的にも広く行われている治療の1つです。現在も日本を含む各国で研究が進められています。
当院では、0.01%よりも濃度が高い0.025%のマイオピンを採用しており、眩しさや手元を見るための調節機能に影響を与えない点が特徴です。対象となるのは、視力検査が可能な4歳〜12歳頃の小児で、軽度から中等度(-6D)の近視の方を中心に行っています。治療は少なくとも2年間継続することを推奨しています。
*2025年5月をもって、マイオピン0.025%は在庫限りで販売終了となります。

リジュセア®ミニ点眼液0.025%

2025年4月21日、参天製薬とシンガポールの国立眼科・視覚研究所であるシンガポールアイリサーチインスティテュート(SERI)が共同開発した「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」が発売されました。この点眼薬はアトロピン0.025%を含み、3年間にわたる治験で近視抑制効果が持続することが確認されています。
従来のマイオピン点眼薬0.025%との大きな違いは、国内で承認された防腐剤を使用せず、1回使い切りタイプとして提供されている点です。使用方法は、1日1回、就寝前に1滴点眼します。
対象となるのは、視力検査が可能な5歳〜18歳程度のお子様で、軽度から中等度(-6D)の近視があり、定期的に通院できる方としています。年齢にもよりますが、3年以上の継続使用が推奨されています。
本剤は2024年12月27日に厚生労働省の承認を受けていますが、薬価基準未収載のため保険適用外となり、自費診療での処方となります。健康保険や医療費助成制度の対象外であり、初回処方は1箱30本(30日分)で4,380円(税込)です。

オルソケラトロジー治療

オルソケラトロジーは、就寝前に「ナイトレンズ」と呼ばれる特殊なハードコンタクトレンズを装用し、眠っている間に近視を矯正する治療法です。朝になったらレンズを外し、日中は裸眼のままでもクリアな視界で過ごすことができます。
このレンズによる近視進行の抑制効果が近年注目されており、特に近視が進みやすい5歳〜12歳の学童期のお子様に有効とされています。

リジュセア®ミニ点眼液0.025%点眼について

従来の「アトロピン1%点眼薬」は近視進行を抑える効果がある一方で、瞳孔が開いたままになることで強い眩しさや光による不快感、目の痛みが生じるなどの副作用が問題となっていました。
また、手元を見るための調節機能の低下やアレルギー性結膜炎を引き起こすこともありました。
その後、シンガポール国立眼科センターの研究により、アトロピン濃度を100分の1程度に薄めることで、近視進行を抑えつつ副作用を大幅に軽減できることが明らかになり、「Myopin(マイオピン)」が開発されました。
マイオピン0.01%および0.025%は、アトロピン1%に比べて副作用が少なく、近視の進行を平均60%抑えるとされています。
特に0.025%は0.01%とほぼ同等の副作用でありながら、より高い抑制効果が期待できると報告されています。
2025年4月21日には、参天製薬とシンガポールアイリサーチインスティテュート(SERI)が共同開発した「リジュセア®ミニ点眼液0.025%」が、国内で初めての近視進行抑制点眼剤として厚生労働省に承認され、発売されました。
この点眼薬は軽度〜中等度の小児近視を対象としており、長期使用を前提に、防腐剤を含まない一回使い切りタイプとして設計されています。従来品と比べても、より安全性に配慮された点眼薬となっています。

近視の進行を抑えることが重要な理由

子供の近視は、眼球が前後方向に伸びて楕円形に近付くことで(眼軸長が延びることで)、焦点がずれてしまい生じることが多くあります。一度伸びた眼軸長は元に戻すことができないため、近視の進行を抑えるには、この眼軸長の伸びをできるだけ防ぐことが重要です。
マイオピンには、眼軸長の伸展に関わるとされるムスカリン受容体の働きを抑える作用があり、その結果として近視進行を抑える効果が期待されています。

点眼薬費用の一覧表(自由診療)

マイオピン点眼薬
0.025%
(5ml・1カ月分)
4,000円
(税込)
リジュセア®ミニ点眼液
0.025%
(0.3ml×30本/1箱)
4,380円
(税込)
診察料・定期検診
(3カ月毎/1回)
2,000円
(税込)

リジュセア®ミニ点眼液0.025%の特長

  • 就寝前に1滴さすだけで続けられる、手間の少ない治療です。
  • 0.3ml入りの容器は1本で両眼分となっており、1回で使い切るタイプです。
  • 日中の瞳孔(黒目)の大きさへの影響は極僅かで、許容範囲とされています。眩しさが気になる場合は、遮光レンズを利用することで軽減できます。
  • 手元を見る際に必要なピント調節機能への影響はほとんどなく、近くを見る力が大きく落ちることはありません。そのため、近用眼鏡を使用する必要性もほぼありません。

リジュセア®ミニ点眼液0.025%を処方するまでの流れについて

低濃度アトロピンを用いた治療は、近視の進行を完全に止めるものではありませんが、少なくとも2年間継続して使用した場合、治療を行わなかった場合と比較して進行を抑えられたとする報告があります。

治療前の検査

お子様の視力や眼の状態を詳しく確認します。

  • 屈折検査:近視・遠視・乱視の程度を測定します。
  • 眼圧検査:眼の硬さ(圧力)を調べます。
  • 視力検査:視力表を用いて、どの程度見えているかを確認します。
  • 眼底検査:網膜や血管、視神経の状態を観察します。

診察・処方

検査で得られた情報をもとに医師が診断を行い、治療方針について説明した上でリジュセア®ミニ点眼液0.025%を処方します。なお、検査の結果、斜視や弱視が確認された場合は、リジュセア®ミニ点眼液0.025%による治療は適応となりません。

点眼薬の使用開始

初回は、0.3ml×30本入りを1箱処方します。リジュセア®ミニ点眼液0.025%は、1日1回、就寝前に点眼してください。1本(0.3ml)は両眼分の1回使い切りタイプのため、毎回新しい容器を開封して使用します。

定期検査

点眼を始めた後は、以下のスケジュールに沿って医師の診察を受けていただきます。リジュセア®ミニ点眼液0.025%の使用には、継続的な通院が欠かせません。

  • 1カ月後:視力検査・屈折検査・診察を行い、防腐剤やアトロピンによるアレルギー反応、眩しさ、近くが見えにくくなる症状の有無を確認します。
  • その後は3カ月ごとの定期検診:視力検査、屈折検査、診察を継続して行います。

オルソケラトロジーについて

眠っている間に視力を矯正する方法

オルソケラトロジーは、就寝中に「ナイトレンズ」と呼ばれる特殊なハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形状を一時的に平らに整えることで視力を矯正する治療です。
レンズの内側には独自のカーブ設計が施されており、寝ている間に角膜へ働きかけます。
朝になってレンズを外しても、整えられた角膜の形状はしばらく保たれるため、日中は裸眼のままでもクリアな視界で過ごすことができます。
ただし、効果が安定するまでには個人差があり、その間は一時的に眼鏡やコンタクトレンズを併用する場合があります。
装用前は、焦点が網膜より手前で結ばれるため、遠くがぼやけて見える「近視」の状態です。
夜にレンズを装着して眠ることで角膜が平坦化し、翌朝には焦点が網膜上に合うようになります。レンズを外した後も、角膜が平坦な間は裸眼で良好な見え方が続きます。

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