眼瞼下垂とは

上のまぶたが垂れ下がって、目を開いても黒目が隠れてしまう状態です。黒目にまぶたがかぶさってしまい、視野が狭くなったり、ものを見にくくなるなどの機能障害につながりやすくなります。
生まれつきの場合もありますが、加齢などによって筋肉が衰えて生じることも多く、ハードコンタクトレンズの長期間使用によって起こるケースも増えてきています。
生まれつきの場合は弱視につながる可能性があります。また、上まぶたが下がってくる症状は、脳動脈瘤や糖尿病の合併症など深刻な疾患でも起こることがあるため、早期の受診が重要です。
見え方などに支障がなく、大きな病気が隠れていない場合でも、額や眉間の深いシワや険しい表情などその方の印象や美容にも影響を与えてしまうこともよくあります。まぶたの垂れ下がりに気付いたら、まずはご相談ください。
眼瞼下垂の原因
眼瞼下垂は、先天性と後天性の2つに大きく分けられます。
先天性眼瞼下垂
生まれつき上まぶたが下がっている状態です。上まぶたの動きには上眼瞼挙筋という筋肉が大きく関わっています。この筋肉が未発達だったり、動きをコントロールする神経に異常があって上まぶたが下がってしまっている状態です。視力が成長する時期に眼瞼下垂が成長を妨げてしまうと弱視になる可能性がありますので、早めにご相談ください。
後天性眼瞼下垂
主に加齢によって生じ、最近ではハードコンタクトレンズを長年使用した方の発症も増えています。まれですが、重症筋無力症、動眼神経麻痺(脳動脈瘤や糖尿病の合併症)などを原因とした眼瞼下垂もあります。
まぶたは、眼瞼挙筋とミュラー筋、眼輪筋などによって動いています。こうした筋肉が加齢によって衰えると上まぶたを支える力が弱くなり、上まぶたが垂れ下がってしまいます。これが最も多い加齢による眼瞼下垂の原因です。発症が増えるのは60歳以上で、年齢を重ねるごとに発症率が増えていきます。
眼瞼下垂の症状
見え方
- 目を凝らさないとものがよく見えない
- 視力は低下していないのに見えにくくなった
- 視野が狭くなった
- 上の方が見えにくい
その他
- 眼精疲労
- 慢性的な頭痛や肩こり
- 額や眉間に深い表情ジワができた
- 怒ってないのに「怒っている?」と聞かれる
- 目と眉の間が広くなってきた・眉が上がった
眼瞼下垂の治療
眼瞼下垂は薬などの内科的な療法で治すことはできないため、根本的な治療には手術が必要です。この手術は日帰りで受けることができます。先天的なもので視力の成長を妨げる可能性があれば、早期の手術をお勧めします。後天的な眼瞼下垂では、筋肉の状態、垂れ下がりの程度、見る機能への障害の程度などを総合的に判断して手術が必要かどうか判断します。視野狭窄や視力など見る機能の予後、美容や印象の改善なども含め、しっかり医師と相談して検討してください。
なお、生活習慣病など、他の疾患が原因になっている場合には、その疾患に対する適切な治療が不可欠です。この場合は薬物療法から血管内治療まで必要に応じてさまざまな治療が行われます。
眼瞼下垂の日帰り手術

眼瞼下垂は内科的な治療では治すことができないため、根本的な治療にはまぶたを持ち上げる手術が必要です。
当院の眼瞼下垂手術は、局所麻酔下で、炭酸ガスレーザーを用いて日帰り手術として行われております。すべての手術は顕微鏡を用いて、丁寧かつ緻密に行います。
当院では高い技術力と豊富な経験を持つ眼科専門医・医学博士である愛新覚羅院長がすべての手術を担当しています。ご相談やデザインの段階から、ご要望を反映した自然で美しい仕上がりにできるよう心がけ、患者様に合わせた最善の手法を選択して執刀しています。
手術時間は片眼で15分、両眼で30分程度です。左右のまぶたの形を整えるためにも両目同時手術をおすすめしています。
当院の眼瞼下垂手術の特徴
1. 担当は経験豊富な眼科専門医
眼瞼下垂の手術は、原因や程度に合わせた術式で行うことが重要です。当院では、眼瞼下垂手術経験豊富な眼科専門医である愛新覚羅院長が、患者様の状態に合わせて手術を行います。
たとえば、加齢による単純で軽度な下垂で挙筋群変性が少ないケースでは、低侵襲な術式での手術が可能です。先天的に挙筋欠損がある場合や変性が強度で重度な下垂がある場合には、挙筋短縮術式や前頭筋吊り上げ術などが必要になります。幅広い症例で正常な開閉瞼を得られる手法について、医師がわかりやすくご説明していますので、お気軽にお尋ねください。
2. まぶたの皮膚や脂肪の状態にきめ細かく合わせた手術を行っています
比較的若い場合や皮膚の弛緩がほとんどない場合は、小切開で行うことができます。まぶたの皮膚に弛緩がある場合には、挙筋群の修復に加えて皮膚を適切な幅だけ切除する必要があります。
また、脂肪が多くまぶたにボリュームがあって眼瞼下垂に影響している場合には、眼窩脂肪を適量だけ切除することでより高い満足度を得られます。
3. 手術時間の短い日帰り手術
当院の眼瞼下垂手術は、日帰り手術になります。保険適応がある場合は保険診療、保険適応がない場合や美容目的の場合は自費診療になります。整容という点に関してもこだわりを持って手術しています。
目は印象を左右する部分ですから、まぶたの開き方や仕上がりのライン、左右差などを確認しながら、自然で美しいラインになるよう心がけています。
4. 顕微鏡を使った手術で正確性と精度の高さを追求しています
眼瞼下垂の手術では、微細な組織の識別が大きく仕上がりに影響します。目元はほんの少しの変化で大きく印象を変えてしまう部分です。そのため、当院では必ず顕微鏡下で正確に組織を見極め、精度の高い手術を行っています。
眼瞼下垂の手術方法

挙筋腱膜前転術
形成外科で広く施行されている一般的な術式であり、腱膜性眼瞼下垂に有効な術式です。瞼板から腱膜の剥離を行い、次に腱膜とミュラー筋の間を剥離し、腱膜を前転させて瞼板に固定します。信州大学病院形成外科の松尾教授が広めたもので、「生理的な改善が認められる画期的な治療法」として広く知られています。
挙筋腱膜タッキング術
腱膜性眼瞼下垂や先天性眼瞼下垂に幅広く用いられる術式です。挙筋腱膜のズレを整復する手術ですので、重度の場合は他の術式が適していますが、軽度から中度までであればこの術式が適しています。腱膜組織を切らないため術後の腫れを抑えることができ、早い回復を期待できます。
ミュラー筋タッキング術
硬い挙筋腱膜から軟らかいミュラー筋を剥離してミュラー筋を縫い縮め、瞼板に固定します。硬い腱膜を縫い縮めないので術後の仕上がりが自然なラインになりやすい術式です。また、まぶたを完全には閉じられない兎眼のリスクを低減できる術式です。軽度から中等度までの症例に適応があり、重度の症例には対応できないことがあります。
ミュラー筋・結膜切除術 / Müller Muscle–Sparing Resection(MMSR)
MMSRは、ミュラー筋と結膜を短縮することで上眼瞼を挙上する術式で、挙筋機能が比較的保たれている軽度眼瞼下垂に適した方法です。皮膚側を切開せず、まぶたの裏側(結膜側)から操作を行うため、皮膚表面に傷が残らない、ダウンタイムが短いという特徴があります。 軽度の腱膜性眼瞼下垂、ダウンタイムを抑えたい方、自然な仕上がりを重視する方に適した術式です。ただし、挙筋機能が低下している場合や重度の眼瞼下垂では効果が不十分となることがあり、その場合は他の術式をご提案させていただきく可能性があります。
保険診療と美容診療について
眼瞼下垂手術には、保険診療が適応となる場合と、美容目的の自費診療となる場合があります。 当院では、いずれの場合においても「手術の質」に差をつけることはありません。
保険診療について
保険診療の眼瞼下垂手術は、視野障害・開瞼障害・日常生活への支障といった機能的な問題の改善を目的として行われます。 当院では、保険診療であっても、顕微鏡下での精密な手術 解剖学的に理にかなった術式選択 まぶたの開閉機能を重視した設計 を徹底しており、「最低限の治療」にとどめることはありません。 見えるようになること、疲れにくくなること、日常生活が楽になることは、 眼瞼下垂治療において最も重要な要素であり、保険診療であっても妥協すべきものではないと考えています。
美容診療について
一方で、美容目的の眼瞼下垂手術では、機能改善に加えて、目元の印象・まぶたのラインの美しさ・左右差の微調整・将来的な加齢変化への配慮といった整容面への細やかな配慮が求められます。 自費診療では、 皮膚切除幅の微調整・脂肪量の細かなコントロール・仕上がりラインへのこだわり・ご希望に応じたデザイン設計など、より踏み込んだ調整が可能になります。 当院では、「大きく変える」ことを目的とするのではなく、 その方の顔立ちに自然に調和する、違和感のない目元を目指しています。
当院が大切にしていること
当院では、保険か自費かで手術を決める 無理に美容診療を勧める 不安を煽って選択を迫る といったことは行っておりません。 まずは医学的に必要な治療かどうかを正確に診断し、 そのうえで、「どこまで改善したいか」 「どこにこだわりたいか」 を患者さまと一緒に確認していきます。 機能改善を最優先にするのか、 仕上がりの美しさまで追求するのか、 その選択は患者さまご自身のものです。 私たちは、その選択を医学的知識と技術で支える立場だと考えています。
眼瞼下垂は「機能」と「見た目」が切り離せない治療です。眼瞼下垂の治療は、単なる美容手術でも、単なる機能手術でもありません。 まぶたの開き方は、視機能 表情 疲れやすさ 顔全体の印象 すべてに影響します。 当院では、「見えること」と「自然に美しく見えること」の両立を大切にし、 数年先を見据えた、破綻しない手術を心がけています。
術後経過
まぶたは腫れや皮下出血を起こしやすい部分です。手術後には一時的に、腫れ、皮下出血による変色、違和感などが起こることがあります。こうした症状は時間経過とともに徐々に治まっていきます。
個人差はありますが、術後2週間で8割程度、1ヶ月で9割程度腫れが引くことが多く、完全に自然な状態に戻るまでには3〜6ヶ月程度かかるというのが目安です。皮下出血による変色は、紫・青・赤から茶色になり、黄色っぽくなって消えていくという経過をとることが多くなっています。
抜糸は手術後1~2週間程度経過してからとなります。気になることがあれば、いつでも医師やスタッフにお気軽にご相談ください。
眼瞼下垂のQ&A
Q1. 眼瞼下垂とはどんな病気ですか?
A. 眼瞼下垂とは、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋など)の働きが弱くなり、 目が十分に開かなくなる状態をいいます。 視界が狭くなる 眠そう・疲れて見える おでこに力を入れて目を開ける癖がつく 肩こり・頭痛・眼精疲労が強くなる といった症状がみられることがあります。
Q2. 加齢以外にも原因はありますか?
A. はい。眼瞼下垂の原因はさまざまです。 加齢による挙筋腱膜のゆるみ 長年のコンタクトレンズ使用 先天性(生まれつき) 眼の手術歴 眼を強くこする習慣 などが関与することがあります。 原因によって適した術式は異なるため、正確な診断が重要です。
Q3. 眼瞼下垂は保険適用になりますか?
A. 視機能に支障があると判断された場合は、健康保険が適用されます。 視野が狭い 日常生活に支障がある 医学的に改善が必要と判断される 一方で、 見た目の改善のみを目的とする場合は自費診療となります。 当院では、保険・自費いずれの場合も診察時に丁寧にご説明します。
Q4. 手術は痛いですか?
A. 手術は局所麻酔で行います。 麻酔時にチクッとした刺激を感じることはありますが、 手術中の痛みはほとんどありません。 不安が強い方には、状態に応じて麻酔方法を工夫しますのでご安心ください。
Q5. 手術時間と入院の必要は?
A. 手術時間は両眼で30分程度が目安です。 日帰り手術で行い、入院は不要です。
Q6. ダウンタイムはどれくらいですか?
A. 個人差はありますが、 腫れ・内出血:1〜2週間程度 見た目が落ち着く:1〜3か月 が目安です。 術後早期は腫れが強く見えることがありますが、時間とともに自然に改善します。
Q7. 傷跡は目立ちますか?
A. 切開を行う場合でも、 まぶたのしわに沿って縫合するため、 時間の経過とともにほとんど目立たなくなります。 当院では顕微鏡下で丁寧に縫合し、 傷跡の質にも配慮しています。
Q8. 眼瞼下垂手術と二重手術は何が違いますか?
A. 目的が異なります。 眼瞼下垂手術:視機能の改善が主目的 二重手術:二重ラインの形成が主目的 ただし、眼瞼下垂手術の結果として 自然な二重ラインが形成されることは多くあります。 必要に応じて、両者を組み合わせて行うこともあります。
Q9. 手術後、元に戻ることはありますか?
A. 適切な診断・術式で行えば、 大きな後戻りはまれです。 ただし、 加齢変化 強い目こすり コンタクト使用状況 などにより、長期的な変化が起こる可能性はあります。 当院では将来の変化も見据えた設計を行います。
Q10. どの術式が自分に合っているかわかりません
A. ご安心ください。 眼瞼下垂手術は、 **「どの術式を選ぶか」よりも「正確な診断」**が最も重要です。 当院では、 まぶたの解剖 下垂の原因と程度 皮膚・脂肪・筋肉の状態 を丁寧に評価し、 あなたにとって最も安全で自然な方法をご提案します。
Q11. まずは相談だけでも可能ですか?
A. もちろん可能です。 「これは眼瞼下垂なのか?」 「保険になるのか知りたい」 といった段階でも、お気軽にご相談ください。
治療費用
保険診療(税込)
| 両眼 3割負担 | 約50,000円 |
|---|---|
| 両眼 1割負担 | 約20,000円 |
| 片眼 3割負担 | 約25,000円 |
| 片眼 1割負担 | 約10,000円 |
自由診療(税込)
| 両眼 眼瞼下垂 | 400,000円 |
|---|---|
| 片眼 眼瞼下垂 | 200,000円 |
| 両眼 眼瞼下垂+ROOF/眼窩脂肪切除 | 450,000円 |
| 片眼 眼瞼下垂+ROOF/眼窩脂肪切除 | 225,000円 |
| 両眼 眼瞼下垂+目頭切開 | 600,000円 |
| 片眼 眼瞼下垂+目頭切開 | 300,000円 |
| 両眼 眼瞼下垂+目頭切開+目尻切開 | 800,000円 |
| 片眼 眼瞼下垂+目頭切開+目尻切開 | 400,000円 |
症例写真



眼瞼下垂術前と術後1ヶ月









